ハンドソーンウェルト-05

チャンを煮る

手縫いで革を縫う際、糸は麻を使用します。ナイロンもありますが、あまり使用したことがありませんので、詳しく知りません。
麻の糸で革を縫う際、麻だけでは簡単に緩んでしまいますので、糸同士が良く絡み、緩まないようにするために、チャンという、松脂と油を混ぜた物を糸に塗ります。
これを作る工程のことを、「チャンを煮る」と呼んでいます。
上の画像が「洋チャン」と言って売っている松脂です。

洋チャンを鍋に入れ、加熱すると溶けてきます。
そのまま冷やしてしまうとまた元の固い塊に戻ってしまうため、糸に塗るのに良い硬さになるように油を混ぜます。
洋チャンと油の配合は気温によって変化します。気温が低いと油が多く必要になり、気温が高いと油を少なめにしないとべたべたになって扱いにくくなってしまいます。

洋チャンと油の配合を、短時間で丁度良いものにし、あまり時間をかけずに思い通りの固さにすることを誇る人がたまにいます。
しかし、これは大きな間違いです。チャンは煮ると煙が出るため、室内で作業すると部屋の中が真っ白になります。煙探知機はピーピーなります。そのせいで勘違いをしてしまっているのでしょう。チャンは煮れば煮るほど黒くなり、粘りのある良いチャンになるのです。短時間で仕上げて良いはずがありません。短時間で作ったチャンは糸に強度を持たせるどころか、切れやすくしてしまいます。
チャンは煮てから時間が経つと俗に「かぜをひく」という状態になり、粘りが無くなって使い物にならなくなります。先ほどのほとんど煮ていないチャンと同じような状態かもしれません。

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煮込んで黒くなったチャン

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固さを確認したら、水の中へ入れて冷やす。割りばしなどを伝わせると鍋尻に回りません。

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冷えるとこうなります。

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完成
私は用途別に2種類のチャンを使い分けています。


煙が近所の迷惑にならないように、作業は雨の日がお勧めです。


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チャンを煮る

手縫いの工程で必要なチャン作りです。このブログでは基本的なところをごしょうかいしましたが、写真で紹介した2種類のチャンのように、授業の中ではもう少し踏み込んでお話しします。1年次ではそれほど使用する機会はありませんが、2年次にはたくさんのチャンを使うことになるため、何度も作るうちにコツをつかむことが出来るでしょう。
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