ゴロっとした印象の靴 チロリアンシューズ02(木型)

今回も、これまでの企画と同様、作る靴が決まったら、先ず最初の工程となるのは木型作りです。
木型を削るところは既に紹介していますから、今回はチロリアンシューズという「ゴロっとした印象の靴を作る」ために、どういう木型を作るかについてのお話しです。

チロリアンシューズというと、たいていの人にとって共通して、ゴロっとした印象があるでしょう。
登山靴として作られているチロリアンシューズのゴロっとした雰囲気は、使われている甲革と裏革がとても厚く、さらにつま先や脇に入る芯材も厚いものを使います。そのため、自然とゴロっとした形に仕上がるのです。
では、そんなに厚い革や、心材を使わない場合はどうするかというと、ゴロっとした印象に仕上げるための工夫が木型に行われるのは間違いないでしょう。今回のわれわれの企画も、木型に工夫は必要です。
厚い革を使っている登山靴としてのチロリアンシューズでは、木型は特別ぶ厚く作られていません。登山用の厚いソックスを履くので、普通の木型よりは厚みがあるでしょうが、見た目のための工夫を木型に行うことはありません。

画像1)木型+厚い革たち
では、見た目をゴロっとさせるためにどういう工夫が必要でしょうか
つま先はなだらかでは無く、急に厚くなるようにします(図内グリーンの線)。甲革の厚みだけで印象が足りない場合は木型に厚みを持たせます。
繰り返しになりますが、木型で靴としてのし上がりをチロリアンらしい印象になるようにすると、厚みが必要です。その印象のために、つま先の厚みを多くつけると、指の付け根部分にも厚みが必要になります。(図内ピンクの線)



このような木型で作った靴を履いたときには、どうしてもその部分にゆとりができますので、ちょっとブカブカの靴を履いているなという印象になってしまいがちです。

話しが少し逸れますが、そういう靴を履くと、親指の付け根が痛くなるという人がいます。
甲の部分は押さえられているから脱げることは無いけれど、足が動きすぎるせいで変に力が入ってしまっているのかもしれません。もちろん、そういう靴を履いたときだけ痛くなる場合です。そうでなければ、他の理由があるのでしょう。
そのお陰でと言っては変ですが、足の厚みのある方には、とても快適に履ける靴だったりします。

とにかく、今回のこの企画においても、甲革の厚みに合わせた木型の工夫は必要になります。
では、どうするのかというと、印象をつけるために木型を厚くしますが、ゴロっとした印象を作りつつ、履き心地は悪くしたくありません。ですから、その2点を優先するために、厚みを上にではなく、下に足します。(図内ブルーの線)そうして大きくなった分は、インソールで補うようにします。


革靴にインソールの組み合わせが、こだわりのある方には邪道に映るかもしれません。
ルッチェで作る靴は、どんなデザインであってもインソールを入れるように作っています。
良い点も多くあります。

それについてはまた別の機会に。

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