Vibramタンク底の手縫いの仕方とノルベジェーゼの出し縫い チロリアンシューズ06(出し縫い〜完成)

ノルウィージャンウェルト製法や、ノルベジェーゼのような、スクイ縫いの糸が側面に見えている製法では、スクイ縫いのステッチと半分ずらして縫うときれいに見えます。



手縫いならではの雰囲気が出せるところです。この出し縫いは、ミッドソールという部分に掛けたもので、ミッドソールというのは、足と接する中底と、地面に接する本底の間に挟む底のことで、アイガメ、アイナカと呼んだりします。

この後、本底を貼って、もう1周出し縫いを掛けることもあります。その際もまた、ステッチを半分ずらして縫うことで、とてもきれいに縫い目が揃い、鎖のような雰囲気を出すことが出来るのです。




今回は、アウトソールがVibramのタンクという登山靴向けのソールを使用するため、アウトソールの取り付けに全周ステッチが掛かることはありませんが、せっかくの機会なので、タンク底の縫いつけを紹介しておきましょう。
タンク底の縫いつけは、通常の出し縫いのように、糸の両端に縫い針を付けて交差させながら縫っていくのとは違って、糸の片側だけに針をつけ、波縫いによって行います。
また今回は、全周縫いを掛けてしまうと、スクイ縫いと出し縫いのステッチとは目幅がずれてしまうため、強度よりも仕上がりを優先して、本底の剥がれ防止のためにつま先部分だけ縫うことにします。つま先の出し縫いが最も難しく、ここの部分の説明さえしておけば、応用することで全周縫うことは可能ですので。
それから、手順が前後しますが、1回目の出し縫いをする前の、ミッドソールの加工について触れておきます。
出し縫いを行うために、底面で糸が収まるための溝を切るのですが、タンク底の縫いを掛けるために、出し縫いを掛けるつま先部分だけこの溝を靴の中央気味に設定しておきました。




縫いあがりはこうなります。




では、タンクの縫いの説明です。

1、つま先部分は分厚すぎるため、このままでは縫えません。そのために包丁を使って、V字に切り込みをいれ、つま先の溝を深くします。












2、から針を斜めに刺し、溝Aから針を出します。




3、縫い糸を通します。



4、から針を奥に向かって斜めに刺し、溝Bから針を出します。




5、溝Bからに向かって糸を通します。



6、から針を横に斜めに刺し、溝Cから針を出します。



7、から溝Cに向かって糸を通します



8、溝の近くから針を、奥に向かって斜めに刺し、溝Dから針を出します。

9、溝Dからに向かって糸を通します。




縫い上がりアッパー側



縫い上がり底側



底面でソールの出っ張りを糸が越えてしまうと、地面に触れて直ぐに切れてしまいます。
ですから、アッパー側でソールの出っ張りを越えておいて、底面ではソールの溝だけを縫うようにするのです。アッパー側では糸は横に進むが、底面では糸は奥に進むといった具合に、アッパー側とソール側で糸の向きが異なるように縫うことで、糸が底面で地面と接することなく縫い進めることが出来るというわけです。

画像の靴で使用した出し縫いの糸は、ミッドソールの縫いつけも、タンク底の縫いつけも、単糸8本を寄り合わせた物を使用しました。
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