-学生の足を救う- 最近の子供の足に合わせた痛くないローファーを作る

有痛性外脛骨や扁平足と診断される成長期の子供が増えています。大切な時期に履く足に良い学生靴を作る、新企画です。

村 : 次はずっと前からやらなきゃいけないと感じていたけれど、なかなかやる機会が無かった靴です。学生用ローファーを作りたいと思います。
石 : 子供の足はずいぶん変わってきているみたいですね。
村 : 春に少し話したんですけど、3月になるとローファーを持って、子供とお母さんがやってくることが多くなるんですよ。中学や高校に進学する時に、初めてローファーを買いに行くと、お子さんが「どの靴を履いても痛いって言う」んだそうです。これまで靴は23センチを履いてたのに、お店でローファーを試着すると、24センチでも痛い又はキツイと言うんだそうです。それで、どれを買ったらいいのか分からなくなって、3足4足と買ってしまうんです。その中で1番良いと思うモノを履いて学校に行くと、早いと駅に着くまでに靴擦れをおこして、初日から足を引きずって歩かなくちゃいけない。何とか痛くなく履けるようにしてほしいと、ルッチュに持ってくるわけです。
石 : 何がそんなに合わないの?
村 : 既存の学生向けに売られているローファーのほとんどが幅が広くて、長さが短い。今の子に増えてきている、幅が細くて長い足とは真逆ですよね。他にも、踵がとても小さいのに、足幅はある子も結構多いです。
石 : じゃあ今回は「細くて長い足用」と、「幅があるのに踵が小さい足用」の2通りをつくることになりますか?
村 : そうですね、ルッチュに相談に来る子供のほとんどが女の子なので、男の子の足の特徴を把握できていませんから、先ずは男性用、女性用ではなくて、女性用で既存の靴が履きにくい足2通りを作ろうと思います。
石 : 木型を2通り用意するんですね。本当はその2つの中間になるようなものが1つあるといいのかもしれないね、余裕があったらやりたいですね。木型以外で既存のローファーとは違いを出すところは?デザインは基本的なローファーらしいローファーの方がいいから、革とかは良く見かけるものとは変える?
村 : 革ももちろん変えます。ガラス仕上げの固い革を裏無しの1枚で作られている靴ばかりですから、足当たりも良くして裏も付けます。それから、関節が緩くてトラブルを起こしている足も多いので、既製品の範囲ではあるけれど、インソールを入れた仕様にしたいですね。
石 : そうすると値段が高くなっちゃうんじゃない?普通の学生用は5,000円前後でしょ?でもさっきの話のように、3足4足痛くて履けないのを買うことを思えば、痛くなく履ける靴であることの方が大切だね。
村 : そうですね、修理して履くようにすれば良いですし、何より身体が出来上がっていく時期の足元が、このままじゃいけない子がたくさんいます。足元の悪さによって身体を歪ませた状態で成長し、身体がそれを当たり前だと認識して歪みが定着してしまうと、身体に様々な悪影響が出てしまうのではないかと心配ですから、何よりも足のことを最優先で作っていきたいと思います。
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