出し針の加工

出し針というのは、出し縫いの下穴を開ける用の針のことです。刃物製作の工房から、出し針を作ってみたから、焼入れの硬さがこれでいいか試して欲しいといわれ、送られてきたので、そのテストをするために、この出し針を加工していきます。

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針先に刃をつけます
出し針は、針という名前ですが、先端が点である針ではなく、先端は刃になっています。つまり、切りながら穴を開けていくイメージです。


針は、全体がつるつるに磨かれていないと、硬くて厚みのある革には刺さりません。そのため、ここからは紙やすりで磨いていきます。初めは120番で、順に180番、240番、400番、600番、800番、10000番と磨きます。荒い番手の方が磨く時間は長いです。



120番で側面を磨いているところ。


側面と背面(カーブの外側)を入念に、全体が同じ状態になるようにムラ無く磨きます。
その際、側面と背面のつなぎ目に角ができないように針又はペーパーを動かしながら、丸くなるように削ります

針を固定して、ペーパーを動かしながら磨く方法は、針先をテーブルに固定します。このとき、針先が痛まないよう、作業用のビニール板などを敷きます。

針先を固定して磨く方が角ができにくいです。指を怪我しないように、針先をしっかりとテーブルに押し当てることが大切です。

針の腹側(カーブの内側)は、側面や背面ほど重要ではありませんが、やはり側面とのつなぎ目が角ばっていない方が良いので、ペーパーを当てていきます。この場合も針先をテーブルに押し当て、腹側を上にします。

ペーパーを動かしながら磨きます。

1000番まで磨いた状態です。ペーパーが細かくなるたびに、刃先も研いでいきます。


仕上げをします。私はAmorというものを使っています。これは、ペースト状の仕上げ剤で、革に少量塗ります。


仕上げ剤を少量塗った革で磨きます。

磨くと光沢が増します。Amorの他にもピカールや青棒など、金属研磨の仕上げ剤のようなものなら、何でも良いと思います。


針のテストをします。本底材に穴を開けてみるのが良いでしょう。


刺しづらい場合は刃先を見直しましょう。抜きづらい場合は針の体部を見直しましょう。

穴の大きさからおよその出来上がりが判断できます。細かいピッチで出し縫いをするなら、それなりに薄い針が必要になりますし、ミッドソールを挟んだ広めのピッチの出し縫いが主な場合には、それなりに太くても良いかもしれません。いずれにしろ色々と試しながら、自分に合った針を作り出すことになります。


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道具加工について

自分にとって縫いやすい出し針ができると、作業をしやすくしてくれる大切な道具となります。自慢したくなるほどですが、誰にも伝わりません。逆に、加工が不十分だと、最初のひと針でいきなり折れてしまうということも無くはありません。できの悪い針は、作業をする上での大きなストレスとなります。初めのうち、どうしても折ってしまいやすい針類は、加工を何度も行うことになるので、手順は自然と身につくことでしょう。
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